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プレスリリース
2025年9月17日

CDPデータが明らかにする数十億ドル規模の水リスク - 金銭的価値をつける企業はわずか5%

  • 新しいデータによると、企業の事業計画における未開拓の水の価値評価の可能性が浮き彫りになっています。

  • 世界全体で報告された水リスクは3,390億米ドルに上り、その軽減には587億米ドルが必要とされています。

  • 現在、先行する21%の企業が水関連課題についてサプライヤーとすでに協働しています。

2025年9月17日(ロンドン): 企業は1兆米ドル規模の機会の瀬戸際に立っています。水資源の価値を正確に評価し、企業の意思決定を支えることで、数十億米ドル規模のリスクを回避し、長期的な成長を実現することができます。 世界最大の独立した環境情報開示プラットフォームを有するCDPは、2024年に水関連の情報開示件数が前年から約2倍増加し、企業の認識の高まりが急速に進んでいることを明らかにしました。しかしデータによると、企業はインターナルプライシング設定の仕組みにおいて水資源を過小評価しており、これはサプライチェーンのレジリエンス、イノベーション、そして将来の繁栄への投資機会を逃していることを意味します。

企業は水関連リスクに起因する潜在的な財務影響を3,390億米ドルと報告しており、より一層の備えと長期的なリスク対策の必要性が強調されています。こうしたリスクは一層深刻化しています。国連のデータによると、2030年までに世界の淡水需要は供給を40%上回ると推計されています。

社内の意思決定に役立てるために水資源に金銭的価値を割り当てる「インターナルウォータープライシング」の導入は、ビジネス上の有効性を裏付ける証拠が増えているにもかかわらず、依然として低水準にとどまっています。2024年に水関連情報を開示した8,500社超のうち、インターナルウォータープライシングを導入していると報告した企業はわずか426社(5%)にとどまり、そのうち水道料金の価格を単に適用する以上の取り組みを行っている企業はわずか290社(3%)でした。一方ですでに2,097社がインターナルカーボンプライシングを導入しており、このことから水関連のリスクや機会の財務計画への反映が気候変動に比べて遅れていることや、その大きなギャップが浮き彫りになっています。

水の価値を十分に評価しないことは、大きなコストにつながります。推計によれば、水連リスクによる影響額は3,390億米ドルにのぼりますが、587億米ドルの支出で軽減でき、投資に対するリターンは6倍に達します。

サプライチェーン全体の可視化が不十分であることも重要な課題の一つです。水関連のデータを開示している企業の70%が自社のバリューチェーンの把握に取り組んでいますが、そのうち73%は一次サプライヤーまでしか把握できていません。その結果、特に食品・農業、繊維、半導体といった水使用量の多い産業において、グローバルなバリューチェーンには、重大な脆弱性がいまだ潜んでいます。これらの産業では水が不可欠な資源でありながら、その多くがサプライチェーンの深層に組み込まれており、把握が難しい状況にあります。これらのギャップを解消することで、莫大な機会が開かれます。CDPを通じて開示をしている企業は、水関連のビジネス機会を1.4兆米ドル規模と見積もっており、リスクへの対応がバリューチェーン全体でリターンを生み出すことを明らかにしています。

水関連課題についてサプライヤーと協働している企業はわずか21%に過ぎませんが、こうした先行企業がベンチマークを築いています。彼らは単なるサプライヤーマッピングにとどまらず、サプライヤーと協働して契約に水関連のKPIを設定し、キャパシティビルディングを支援し、さらには優れた成果に対して金銭的インセンティブを導入しています。

水需要が急増する中、サプライチェーンの不透明性は重大な課題となり得ます。AIを活用したデータセンターの急速な拡大だけでも、2030年までに年間最大1兆2000億リットルの水を消費する可能性があるとされています。すでに水関連のデータを開示している企業の27%が水ストレス地域からの取水を報告しており、水資源のひっ迫が企業戦略に影響することが示されています。

水関連リスクの影響を最も受けやすく、また、対応を進めることで最も大きな機会が見込めるセクターには、製造業、素材産業、そして食品・飲料・農業が含まれます。これらの産業は、水効率の向上、再利用技術の導入、レジリエントなサプライチェーンに関する取り組みをすることによって、合計2,040億米ドル規模のビジネス機会を創出したことが報告されています。

CDP CEO シェリー・マデーラ:水の市場価格と企業にとっての真の価値との間には大きな隔たりがあり、成長予測とはかけ離れています。カーボンプライシングはすでに、企業がリスクと機会を理解するのに役立ってきました。今こそ水に対しても同様の透明性が求められています。アースポジティブなデータを活用することで、企業は競争優位を築き、レジリエンスを強化し、新たに生じる課題に先んじて対応するためのインサイトを得ることができます。これは単なるリスク管理の話ではありません。企業、社会、そして地球に利益をもたらす価値を創出することなのです。

CDP ヘッド オブ ウォーター ジョー・レイ: インターナルウォータープライシングは万能薬ではありませんが、パズルの重要なピースです。リスク評価やサプライチェーンとの協働、水問題に対する取締役会レベルでの監督と組み合わせることで、企業が価格と価値のギャップを埋め、新たな機会を切り拓くことに役立ちます。水は安価なコモディティとしてではなく、企業のレジリエンスに不可欠な重要資源として捉えなければなりません。

これらの調査結果は、CDPが『Climate Week NYC 2025』に先立ち、AIの加速と水およびレジリエンスへの影響をテーマとするイベントを開催するのに合わせて発表されるものです。CDPとWatermarqはまた、インターナルウォータープライシングの手法に関する市場の現状を明らかにする技術文書も公表する予定です。

現在、世界の時価総額の3分の2を占める約2万5,000社がCDPを通じて情報を開示しており、その証拠は明らかです。データを活用して水リスクを測定・管理する企業は、収益の確保、資源の保全、そして長期的な価値の創出において、より有利な立場にあります。

-以上-

編集者へのメモ

インターナルウォータープライス:水道事業者に支払う市場価格を超えて、組織にとっての水の経済的価値を反映する指標です。水の消費コストは低い一方で、その水に依存する価値が高いという、企業における水関連コストと価値のギャップに対処するために設けられています。インターナルウォータープライスは、環境コストなど水使用に伴うさまざまなコストを考慮に入れ、企業が水管理、水資源節約技術への投資、水資源の逼迫や水質に関するリスクの把握などについて、より的確な意思決定を行うことを支援します。

CDPについて

CDPは、世界で唯一の独立した環境情報開示システムを運営するグローバルな非営利団体です。環境報告のパイオニアとして、透明性と変革を推進するデータの力を信じています。ビジネス、資本、政策、科学のリーダーと提携し、アースポジティブな意思決定を可能にする新しい情報を提供しています。2024年には、24,800社以上の企業と1,000以上の自治体がCDP質問書を通じて環境情報を開示しました。世界の運用資産の4分の1以上を保有する金融機関は、投資や融資の意思決定のためにCDPデータを活用しています。CDP質問書は、ISSBの気候基準であるIFRS S2への整合をはじめ、重要な情報開示基準やベストプラクティスをひとつのフレームワークに統合しています。 CDPはグローバルなチームで、人と地球と経済の真にバランスのとれた世界を築きたいという共通の願いで結ばれています。詳細については、cdp.net にアクセス、または@CDPをフォローしてください。

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