自治体のSBT(Science-Based Targets:科学に基づく目標)

自治体が排出削減目標を設定すべき理由

自治体は気候変動による危機の最前線におり、ゼロエミッションの実現とレジリエンスのある地球を構築するために、重要な役割を担っています。

世界の気温上昇を産業革命前に比べて1.5℃に抑えるためには、2030年までに温室効果ガス排出量を48%削減し、2050年までにネットゼロの達成を早急に実行しなければならないことが科学に基づいて報告されています (IPCC 第6次評価報告書)。自然や人間システムにおける気候関連のリスクは1.5℃の気温上昇でも現在より高くなりますが、それ以上の上昇となった場合、将来のリスクや影響が長期にわたって続くか引き返せなくなる恐れがあります。

自治体はこの低炭素な未来への変遷に重要な役割を担っています。自治体にとって、排出削減に関する『科学に基づく目標(Science-Based Target: SBT)』を設定することは、自治体がグローバルな目標に沿っていることを確認するための最も良い方法です。気候SBTは、2030年までに排出量を半減させ、2050年までに世界的にネットゼロを達成するために必要な世界の排出削減量の公正な分担を示す、区域全体の排出削減目標です。

ネットゼロを達成するための目標年を設定することはもちろん、自治体が長期的な目標に沿って取り組みを進め、その過程の進捗状況を把握するためにも、中間目標の設定は不可欠です。

656

2023年に区域全体の排出削減目標を報告した自治体数

609

科学に基づく目標を考慮している、又は目標に向けて取り組んでいると報告した自治体数

355

2050年までにネットゼロを達成する目標を有していると報告した自治体数

自治体は排出量の公正な分担に対して責任を果たすことができます

世界の都市や自治体は、気候変動に対する様々な歴史的責任があると同時に、気候変動に対処するための役割があります。科学に基づく方法論を使って目標を設定することで、目標が排出削減の「公正な分担」を担うことを保証します。

つまり、グローバル目標は2030年までに温室効果ガスを48%削減することですが、各自治体に要求される削減レベルは、公正性を考慮すると、それよりも高くなったり低くなったりする可能性があります。

SBTに取り組むためのステップ

  1. Science Based Targets Network (以下、SBTN)において、自治体を支援する主要パートナーであるCDP、C40都市気候リーダーシップグループ(C40)、世界気候エネルギー首長誓約(GCoM)、イクレイ(ICLEI)、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)が作成した「都市・自治体のための気候SBT設定ガイド」をお読みください。このガイドでは、排出削減SBTと、目標を策定するための三つの異なる方法を紹介しています。自治体は、Science Based Targets Network(SBTN)が認証している方法の一つであるWWFの「ワンプラネット・シティチャレンジ(OPCC)方法論」を利用して科学に基づく目標を設定することができます。

  2. 目標を確認または設定してください。地球温暖化を1.5℃に抑えるための排出削減の公正な分担に対して既存の目標が合致しているかどうかをガイドの方法論を用いて確認してください。目標が無い場合、または目標の更新が必要な場合は、ガイドの方法論を用いて、SBTを設定してください。自治体は、WWFの「ワンプラネット・シティチャレンジ(OPCC)方法論」を用いて目標の設定や確認が可能です。

  3. CDPシティ質問書で目標を開示して報告してください。自治体に目標が無い場合は、まだ目標を設定していない理由を報告してください。開示期限後、次のステップをご支援するために、CDPよりご連絡を差し上げる可能性があります。

  4. CDPは、目標が地球温暖化を1.5℃に抑えるための排出削減の公正な分担に整合しているか確認し、その結果に基づいて適切な支援を提供します。C40やイクレイのメンバーである都市・自治体や、WWFの「ワンプラネット・シティチャレンジ」に参加している自治体は、これらのパートナー組織により目標が確認されます。

  5. 目標に対する進捗状況を把握するため、毎年情報を開示してください。進捗状況や気候科学の発展に基づいて、時間の経過とともに目標を更新する必要が出てくるかもしれません。

サポートとガイダンス

CDPは、SBTを設定、確認、開示する自治体を支援します。支援を受けるためには、CDP-ICLEI Trackに最新の目標を報告してください。

ガイド、報告書、ガイダンス文書

ビデオチュートリアル(英語)

CDPイベントや過去の録画

イクレイとC40 Citiesに加盟する自治体は、目標を設定する際にこれらの組織から支援を受けることができます。

目標設定や環境情報の開示に関する支援依頼、ご質問に関してはcities.japan@cdp.netまでご連絡ください。

Race to Zero

Race to Zeroは、国連ハイレベル気候チャンピオンが実施する国際的なキャンペーンです。 将来の脅威を防ぎ、適正な雇用を創出し、包括的かつ持続可能な成長を可能にする、健全で強靭なゼロカーボンの移行に向けて、企業、自治体、投資家のリーダーシップと支援を結集することを目的としています。Cities Race to Zeroは、 CDP、C40、GCoM、イクレイ、都市・自治体連合(UCLG)、WRI、WWFの連合体で、都市・自治体がキャンペーンに参加するためのものです。SBTを設定することは、 国連気候変動枠組条約(UNFCCC)のRace to Zeroキャンペーンにおける重要な要素です。

都市・自治体はCities Race to Zero への参加により、以下のことを誓約します。

  1. Cities Race to Zeroキャンペーンの原則を支持します。

  2. 地球温暖化を1.5℃に抑えるための世界的な取り組みに沿って、2040年代、もしくはそれ以前、遅くとも今世紀半ばまでにネットゼロを達成します。

  3. 2030年までに世界のCO₂を50%削減するための公正な分担に基づいて、今後10

    年間以内に達成すべき中間目標を設定します。

  4. パリ協定の1.5℃目標に整合するレジリエントな経路に沿うための、少なくとも一つの包括的かつ公正な気候変動対策の計画を直ちに進め、遅くとも2022年までに実施を開始します。

  5. 毎年、進捗状況を報告します。

Cities Race to Zeroのポータルにて、このキャンペーンに関する詳細情報をご確認ください。

Under2 Coalition はRace to Zeroキャンペーンのパートナーであり、地方政府やその他の準地域アクターのRace to Zeroへの参加を支援します。

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